ダイビング用の空気

 スキューバダイビングと言えば、「背負った酸素ボンベから酸素を吸い込んで、海の中を泳ぐ!」と思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実はダイバーが背負っている酸素ボンベの中には、酸素は21%しか入っていません。残りの79%は、窒素が充填されています。つまり、実際にスキューバダイバーが呼吸している空気は、8割近く窒素なのです。

このグラフは、大気中に含まれる気体の種類と割合を表したものです。その他1%には、二酸化炭素やネオン、アルゴンやクリプトンなどが含まれています。

 そう、ダイビングで使用する酸素ボンベの中身は、実際の大気とほとんど同じ種類の気体・割合で充填されています。(その他1%の気体は、窒素として充填されています。)

もう少し現場的なお話し

 スキューバダイバーの間では、酸素ボンベのことを”酸素ボンベ”とは呼びません。”タンク”や”シリンダー”と呼びます。単に”酸素ボンベ”と言うと、酸素が100%充填された純酸素タンク(減圧症の緊急対処時に使う小さいやつとか)を指す場合がほとんどです。

 実は、酸素とは、高気圧環境下では人体にとって危険度の高い気体となりえます。スキューバダイビング中は、陸上よりも高密度に圧縮された気体を呼吸に使用しています。そのような高気圧環境下で純度の高い酸素を呼吸に使用すると、死に至るおそれのある酸素中毒に陥る危険性がでてきます。
 極稀に、特殊なダイビング(テクニカルダイビング)で純酸素タンクを使用する場合がありますが・・・それでも、5M以浅でしか使用してはならず、使用目的も呼吸だけではなく、呼吸+人体組織に溶け込んだ窒素を素早く排出するためです。というか、テックダイバーではない私でも、6M以深で純酸素で呼吸してはいけないことはなんとなくわかります(´・ω・`)

 スキューバダイビングのタンクで、”エンリッチドエア・ナイトロックス”と呼ばれるものがあります。これは、通常タンクとは違い、酸素分圧(酸素の割合)を30%~36%に高めたものです。酸素分圧を高める事により、窒素酔いと減圧症の発症を低減(体内に溶け込む窒素量を減らすという意味。減圧症リスクを100%軽減できるわけではない。)できるメリットがあります。その分、酸素中毒のリスクは高まるわけですが・・・普通のレジャーダイビングでは最大深度18M・潜水時間50分くらい(PADIのオープンウォーター・ダイバー基準)しか潜らないので、酸素中毒になるリスクより、体内に溶け込む窒素量を減らせるメリットの方が大きいんですね!

1件のコメントがあります

  1. ひで

    流石!よくご存じで!
    他にももっと知りたい!
    パワハラ上司命令です。

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